英語学習7つの誤解 (生活人新書) 大津 由紀雄

英語学習7つの誤解 (生活人新書)

自分でものを考察できる平均的な思考力を持つ人なら、この本でいう誤解(たとえば英語は文法は不要、留学すれば身につく、母語のように学ぶと良い、ネイティブから教わるべきなどの誤解)はまずしていないと思うので、実践的な意味では読む必要はない。だが、世に溢れる誤解のまとめとして概観するにはよいと思う。

英語学習7つの誤解 (生活人新書) 大津 由紀雄

ドラゴン桜 全21巻完結セット (モーニングKC)

本当に誤解をするタイプの人が読まねばならない本だろうが、そういう人は普段新書など読まないのではないだろうか。本を読みさえしないのかもしれない。別の方法で啓蒙する必要を感じる(漫画『ドラゴン桜』風に編むことも一つの方法であろう)。

英語は外国語の中でもとくに習得しやすい言語である。

(誤解6)

の議論において著者は、言語の難しさを比べるときは全体を比べる必要があり、全体としてみる場合はどの言語も難しさはあまりかわらないという考えを提示している。この考えにはなるほどと思った。

たとえば活用が簡単だからドイツ語より英語は簡単などと判断するのは安易ということだ。活用が簡易になっていれば逆に語順の縛りがあるなど、別のところに難しさが出てくるのだ。

ただ、言語自体の難しさについてはどの言語も同じだとしても、英語は学習環境の整備度について他言語の比ではない。その意味では他より習得しやすいはずだ。しかし実際にはほとんどの人が、言語的距離の遠さにめまいし、学校教育で身につかずにおわる。

「頭を抱えてジタバタする男性」[モデル:OZPA]

かくして日本の英語産業は永遠となる……。