思考の整理学 (ちくま文庫) 外山 滋比古

思考の整理学 (ちくま文庫)

本書からは次のような観点を受け取った。

まず、考え込まずに待つことも大事ということだ。

思考の整理とは、何かの問題について、着想や思い付きに始まり、高次の認識に至ることだが、これにはとても時間がかかることである。その問題ばかり考えていてもあまり効果が上がらない。他のことに取り組んだりして、当該の問題はとりあえず寝かせると、いずれよい考えが浮かぶ場合がある。根を詰めて考えてしまう人に対する警告ともなるかもしれない。

パーカーを着て夜散歩

思考の整理学 (ちくま文庫) 外山 滋比古

つぎに、考えはひねりだすのではなくエディットしてだすものだということ。独創的な考えは大事ではあるが、独創とは、自分の頭からひねりだすものというより、手持ちの知識をうまく組み合わせて編集するようなことである。

自分で考えることが大事とは言われるが、それにしても材料が欠かせないという指摘にも読み替えられる。

ただ、天才と呼ばれる人たちは (彼らとて既存の知識の組み合わせで新しいものを見出すことから逃れることはできないとはいえ)、「ひねりだした」と言いたくなるほどの新基軸を打ち出した人たちなのではないかとは思う(たとえばこの人とか)。