99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方 (光文社新書) 竹内 薫

99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方 (光文社新書)

科学は絶対で普遍的な真理にみえるが、どれほど盤石にみえる仮説も覆されることがある。このことを科学史からさまざまに例示し、科学が絶対ではなく一つの仮説にすぎないとする。科学は仮説であり、限りなく白であっても真理にはなれないし、逆に限りなく黒に近い仮説でも、一つの仮説として「肯定的に」みるべきと著者はいう。

蠢く仮説の不安定さを嫌う人々は、自分のまわりを『白い仮説』ばかりで塗り固めようとします。そして、ルーチンな毎日に埋没していき、グレーゾーンにはいっさい目を向けようとしなくなります。(中略)仮説でしかない世界を確定したものとみなすのは、単なるごまかしにすぎません。それは精神の『死』を意味するといっても過言ではありません。

(pp.235-236)

この言葉は時々思い出して自分を戒めたいところだ。

99・9%は仮説 思いこみで判断しないための考え方 (光文社新書) 竹内 薫

ただ一方で思うのは、独断的傾向の強い「黒い」仮説と、多くの科学者が実験を通じて導いた「白い」仮説の重みは自ずと違ってくるのでは、ということ。両者を公平に肯定的に見るのはなかなか難しい。「黒い」仮説 と「白い」仮説が並んでいる場合、たいてい反射的に後者に手を伸ばすだろう。

黒い仮説にも寛容な態度でいたいと思っても、時代に優勢な思考方式から大きく逸脱しているものを素直に受け入れられない人も多いと思う。