新版お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方知的人生設計のすすめ (幻冬舎文庫) 橘玲

お金にかかわる各種制度には、教科書などでは知りえないような「歪み」があり、それを知ること、またそれを「うまく」使って行動することにより、お金の貯まり方が異なってくる場合があるということを、数字をまじえて例示している（歪みをうまく利用することを本書では「黄金の羽根を拾う」と表現している）。

作者はどの一つの手法も「推奨」しているわけではなく、事実を抑制的な筆致で伝えるのみである。こうした書き方は、資産構築の指南書がともすれば熱く読者に訴えて行動を促そうとするものであることを考えると、珍しい部類かもしれない。

本書の内容はたしかに興味深いものであるが、「今後、制度上の歪みを合法的に活用し、一番得をするやりかたをやろう」と積極的に動く気になれるかどうかはその人次第である。この類の努力を「めんどくさい」と思う人も多いだろう。