なぜ疑似科学を信じるのか: 思い込みが生みだすニセの科学 (DOJIN選書) 菊池 聡

なぜ疑似科学を信じるのか: 思い込みが生みだすニセの科学 (DOJIN選書)

最初の方を読んでいて「この著者もやみくもに超能力とかそうしたものを胡散臭く見るだけの科学万能主義の人かな?」と思ったが、読んでいくうちにそうでないとわかり、むしろ著者のバランス感覚に敬意を抱くようになった。

疑似科学というと、超能力・心霊現象・UFOなど、怪しい対象を研究するものだと考えられるが、著者によればそれは誤解で、研究姿勢によってそれらは科学にも疑似科学にもなりうるという。つまり、科学的方法論に正しく則って研究する限り、それは疑似科学ではないのだ。方法の是非によって科学と疑似科学を区別する考えは啓発的だ。大槻義彦を始めとする、疑似科学的なものへの闇雲な批判者とは一線を画している。

なぜ疑似科学を信じるのか: 思い込みが生みだすニセの科学 (DOJIN選書) 菊池 聡

著者のこのスタンスの安定感はすごい。著者は血液型と性格の関連を多くの厳密な心理学的研究例でもって否定している一方で、超心理学もきちんと科学的研究法をとるものについて、科学たることを認めている。

 疑似科学の思考の特徴や、人間が疑似科学に惹かれていく理由なども興味深い分析がなされている。おすすめ。