英語支配の構造 津田 幸男

英語支配の構造

英語を学ぶ人の中には、英語などまるで必要がない人もいるだろう。本当は放棄してしまいたいのに、なぜか強迫観念のように勉強に駆り立てられる。そんな自覚症状がある人に、まず一読をお勧めしたい。古い本だが、原理的な事柄を扱っているので今読んでもまったく色あせていない。

英語支配の構造 津田 幸男

この本を読めば、英語支配の現実もよく理解できるし、なぜ自分が英語に対しておかしな態度になってしまうのかについても、精神分析的および歴史的な側面から納得できるだろう。

同時に、英語支配に由来する英語への両義的な態度が、個人の努力で解消できる類のものではないこともわかるだろう。著者は英語支配の状況への対策も書いているが、残念ながら「一矢報いる」程度にしかなりそうにない。

「座りながら弓をひく四半的」

少々絶望的な気分にもなるが、本書を読むことで、無批判に英語を崇め奉ることからは少なくとも脱却できる。

英語をめぐっていろいろ考えたことがある人には、本書の議論に驚きは少ないかもしれないが、胸がすくだろう。とくに後ろのほうの章では、英会話を無批判に学ぶ人への皮肉たっぷりで痛快。