「占い」は信じるな! (講談社+α新書) 佐藤 六龍

「占い」は信じるな! (講談社+α新書)

占いが、当たる・当たらない、だけの話ではないことを伝える本である。

著者によれば「本来の」占いは、「命」(不動の生年月日時間で決定される宿命)を知りつつ、それでも「卜」(事実の吉凶への占い)、「相」(家相等の占い)で最大限プラスの人生へ変えていこうというもの。

だがマスコミで騒がれる日本の「占い」は命・卜・相の区別がごちゃまぜであり、当たるか当たらないかだけが焦点であり、「本来」の姿からかけ離れている。その日本の「占い」商売のからくりを暴露しつつ、占いへのあるべき接し方なども論じている。

「占い」は信じるな! (講談社+α新書) 佐藤 六龍

著者はある流派の占術の専門家。占いを信じない外部の立場の「上から目線」ではなく、占いをやる側が「占い」を信じるなというのだから説得力がある。

著者は占いが「当たったもの」になる理由として、

  • 占い自体が大雑把(血液型など、分類が大雑把)であること
  • 占われれば、自分に関係ない事柄を関係あるものと思い込む心理
  • 占い師のテクニックにはまる(例えば、探せば誰だってあてはまるような質問をする(例「最近どきりとしたことはありませんか」)

などを挙げている。

すなわち「当たる」のではなく、「当たったものにする」わけだ。占いによる予言が当たったという場合も同じで、事後に「当てはめた」にすぎない。ゆえに占いが何でも当たるという思い込みは捨てたほうがよいとし、占いが「当たらないこともある」と言いきる。

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では占いが無意味かというとそうでない。

著者のことばを敷衍すれば、占いは(占いの通常のイメージと違って)人間を自由に解き放つ役割がある。なぜか。占いは自分で考えていては思いも付かない自己像をあぶり出すし、自分を知る契機になりうるからだ。その占いを認めるかどうかは自分自身の判断。

当たる、当たらないに目を奪われがちな中で、占いの本義を見つめるているという意味では好感が持てる本である。レビュアは占いをそもそも信じていないが、占いへの態度が参考になった。