「タバコがなければ人生がつまらない、などと思う必要はない」と著者が指摘するくだりを読んだとき、「見透かされた」と感じた。この指摘をうけて、ひとまず心を開いて通読してみようという気持ちになった。「読むだけでやめられれば世話はない」と思いながら本書を手にした人間を、一通りでも読む気にさせるのはそれなりのものだと思う。
本書読後、タバコをすぐにやめられない場合、実用的には失敗というべきかもしれないが、「タバコなしの人生も十分楽しいものかもしれない」というイメージを残してくれるので、後の禁煙の機会にとって無意味ではないだろう。
ただし、方意地を張って、著者と勝負を挑むような気持ちで読む喫煙者は、本書を読んでもおそらく禁煙できまい。自分を騙してでも素直に本に耳を傾けてこそ、なにがしかの成果が得られるものと思う。
ちなみにレビュアは2007年4月に本書を読んで以降、12年間吸っていない(1)これにはわずかに偽りがあり、細かくいうと、ある時期までJTのモニターになっていたので、送られてくる分は年に一度の楽しみのように吸っていた。だがそれによって喫煙生活の日常的復活はなかった。そのモニターもやめて数年経っている。
脚注
↑1 | これにはわずかに偽りがあり、細かくいうと、ある時期までJTのモニターになっていたので、送られてくる分は年に一度の楽しみのように吸っていた。だがそれによって喫煙生活の日常的復活はなかった。そのモニターもやめて数年経っている |
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