その悩み、哲学者がすでに答えを出しています 小林 昌平

その悩み、哲学者がすでに答えを出しています

日常的な問いについて、過去の偉大な哲学者や思想家たちに答えを探っていく本。

その悩み、哲学者がすでに答えを出しています 小林 昌平

くだけた問いと、考える達人たちとの好対照で、 目次を見るだけでも結構楽しい(以下一部抜粋)。

「将来、食べていけるか不安」⇒アリストテレスが答えを出しています。

「やりたいことはあるが、行動に移す勇気がない」⇒デカルトが答えを出しています。

「嫌いな上司がいる。上司とうまくいっていない」⇒スピノザが答えを出しています。

「不倫がやめられない」⇒カント親鸞が答えを出しています。

「恋人や妻(夫)とけんかが絶えない」⇒ヘーゲルが答えを出しています。

「他人から認められたい。チヤホヤされたい」⇒ラカンが答えを出しています。

もちろんこれほど具体的な問いに哲学者たちが直接答えているわけではなく、著者が読み解いた「答え」を提示しているということ。各問に対する真正面からの答えになっていない場合も多いが、豊富な読書に支えられた内容自体が、考えるヒントになる。

SNSをやっている人などで承認欲求のある人も多いだろうが、いくらやっても満たされない思いがつきまとう人もいるかも知れない。これに対するジャック・ラカンの答えが参考になる人も多そうなので、これだけとりあげておく。

ジャック・ラカン(1901-1981)
wikiより)

ラカンによると、日々「小文字の他者」に認められても、いつまでも十分な満足に至ることはない。もっと大きな視点にたった「大文字の他者」に認められることがなければ真の満足に至らない。

例えば、いいねが一時的にたくさんついてもそのとき喜んで終わりだが、 自分が死んでも残るような価値を生み出したときこそ、心から満足できるという。

われわれ一般の人には難しい課題だが、すくなくとも、うわべの相互承認は気慰めなのかもしれないという、誰しも薄々感じている事実に適う話だろう。