日本にとって他者であったアメリカが、その暴力性を隠蔽しながら、日本に内在化していく過程をあざやかに浮かび上がらせている優れた本。
分析対象となる諸表象もバラエティーに富んで賑やか。基地、娼婦、ジャズ、プロレス、六本木、天皇、電化製品、広告、住宅、べ平連などなど、何から何までという感じだ。
時々読むのに少々くたびれる部分もあるが、リターンは大きい。つまらない新書が氾濫する一方で、本書は堅気で良質で充実した一書となっている。
「アメリカ的なものを抜きにして日本は考えられなくなっているなあ」という気分をお持ちの方が、何か考えてみるきっかけに読む本として、特にお勧めできる。
ちなみに、226ページから最後までの記述は、本書のほぼ完全な要約となっているので、そこから読んで見取り図とするのも手かもしれない。