祖国とは国語 (新潮文庫) 藤原 正彦

祖国とは国語 (新潮文庫)

著者によると、現実のものごとについて正しい判断をするには、ただ論理的であるばかりでなく、論理の出発点に妥当な仮説をもってくる必要がある。どのような仮説をもってくるかを決めるのが教養や情緒である。その教養や情緒を養うのが国語教育なので、国語教育は何よりも重要だとのこと。

祖国とは国語 (新潮文庫) 藤原 正彦

著者のいうとおり、前提として穏やかでない仮説をおいたまま論理を展開する人をよく見かける。そのため、いかに論理的であっても帰結が歪(いびつ)なことがよくある。

「オーロラメタル(テクスチャー)」

風変わりな価値観や思想は当然あってよいし、それはそれで結構だが、それもすべて保守的な価値観を学校で叩き込まれてからにしてもらいたい、と切に願うものである。少なくとも税金で運営している学校では、戦前並とはいわないが、「すべきこと」「学ぶべきこと」は当たり前のように厳しく仕込むべきだと思う。

愛人を囲いたい願望を書いたエッセイなども笑えたし、満州の話も興味深い(勢いで母親のていさんの本も読むといいだろう。強くおすすめしたい感動作)。