先にお断りしておくと、私は風水の前提となっている「気」を(基本的には)受容できない立場であり、本書での風水詳解も「気」を前提している限りでは、独断の形而上学であるとは思うのだが、以下二つの点で、称賛したいと思った。
一つは、本書の内容が、風水に関する膨大な知識と豊富な経験に裏打ちされた究極の域に達していると見られる点。大全という語に偽りなし。小手先の内容に終始する日本の風水本とはこころざしが違う。
もう一つは、最初に読むといいが、監訳者があとがきで述べるように、安易に「開運」といわず実務的に「改善」といい、風水の効用について抑制を利かせている点。安直に開運へといざなう日本の風水本とは一線を画している。
そうなのだ。この本は、風水はあまっちょろいもんじゃないゼと伝える圧倒的な凄みがある。ここまで本気でやられたら、たとえ受容できない私のような者からしても、その体系内部での整合性や完成度に芸術点を与えて敬意を表したくなるのだ。