科学哲学上の議論や著者自身の見解(日常的直観にかなう実在論の擁護)をコンパクトに読者に伝えていて、知的好奇心を十分満たしてくれる本。
会話形式で読書の敷居を低くなっているが内容は濃い。たまに迂遠な言い回しもあるし、またそもそも事の性質上、抽象的にならざるを得ない部分もあって、必ずしもやさしい本ではないが、強い関心がある人の一冊目としてお勧めできる本である。
多様な論点があるため、とても一言でまとめられないが、疑似科学への臨み方で肝に銘じるべきだと思った点を紹介しておきたい。それは、疑似科学を批判する場合、それを「間違いだ」といっても、その非科学性を示したことにはならないということである。科学の歴史では、あとで「間違い」とわかる主張にあふれているからだ。
「大事なのは、『間違った科学』がそれでも科学なのはなんでかってことでしょ」
p.81
巻末の読書案内も親切。